2008年12月25日木曜日

オランウータンの口笛、言語の起源か?

アメリカのワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園には、器用に口笛を吹くオランウータンがいる。体重63.5キロのメスのオランウータン「ボニー」が口笛を吹くようになったのはおよそ20年前のことで、飼育係にとってはおなじみの光景である。 最新の研究によると、ボニーが生み出す“音声”は、人間の言語の起源に関する手掛かりを秘めている可能性があるという。 研究チームの一員で飼育係のエリン・ストロンバーグ氏によると、ボニーは誰かが口笛を吹いたのをまねて習得したようだ。動物園の大型類人猿・ジャイアントパンダ担当責任者のリサ・スティーブンズ氏は、「ボニーは口笛を吹くように訓練されたわけではない。この点が重要だ」と話す。 オランウータンは十分に訓練すれば新しい音声を教え込むこともできるが、ボニーの口笛行動はそうではなく、オランウータンがほかの生物種から独力で音声を習得できることを初めて示した。「この音はボニーが自発的に発達させたものだ。タネも仕掛けもない」とスティーブンズ氏は話す。 オランウータンが人間のものまねをすることはよく知られている。例えば、ボニーは飼育係がするのと同じように自分の歩いた部分をほうきで掃くことがある。しかし、このような行動をするように教え込んだことはない。